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執筆者の写真rinhanaworks

「喪失感と向き合う」

更新日:2019年11月27日



カウンセラー佐々木です。

先日、とある方がエリック・クラプトンの来日公演を見に行ったと興奮気味に話しておられるのを聞き、ふと「tears in heaven」という曲を思い出しました。



もしも天国で会ったなら

君は僕の名前を覚えているだろうか もしも天国で会ったなら 以前と同じでいられるのだろうか 僕は強くならなくてはいけない そして頑張って生きていかなくてはならないね ここ天国は僕がいるべき場所ではないとわかっているから



名曲として名高いこの「tears in heaven」、クラプトン自身の子供を亡くした体験を歌にしたもの、というのは有名な話ですが、4歳の我が子を不慮の事故で亡くした親としての苦悩、自責の念、後悔、といった感情で苦しむ自分を癒すための歌だったようです。


そして、もう大丈夫と思えた時、彼はこの歌を歌うのをやめました。もう自分にとって癒しの必要はなくなったと思えたから、と。そこにたどり着くまでは長い年月が必要だったと思いますが、偉大なミュージシャンでさえも、愛する者を失った喪失感で苦しみ傷つきました。最近になって再び演奏するようになったとのことで、今回の公演でも聞くことができたそうです。

亡くなった方を思う歌、というのを3月からここ最近の間、よく耳にしました。以前ここでも紹介させていただいたハンバートハンバートという夫婦デュオの曲で「願い」という曲があります。



悲しまないで もう過ぎたこと

何も悪いなんてことなんてないよ

忘れておくれ もう終わったこと

誰も君を責めたりしないよ

僕はもう苦しみの外 おだやかなところにいる

どうか幸せに せめてすこやかに

それだけが僕の最後の願い

だから泣かないで 今は今のため

僕ならひとりで大丈夫だよ



これは亡くなった者からのメッセージという形で、残された者へ安心と感謝を伝える安らかな歌です。もっとああしていれば、こうしてあげれば、という後悔の念に苦しんでいる人は、きっとこの歌の優しいメロディと歌詞に助けられるのではないでしょうか。


そして、カウンセラー佐々木のイチオシが、川崎市在住で静岡県でも活動されているミュージシャンで瓦待良(かわら たいら)さんという方の、「ナクペンダ」という曲です。スワヒリ語で「愛している」という意味の単語なんだそうですが、亡くなった友人を想って作った曲だとか。2番の歌詞がとても好きなのでご紹介します。



君と したいことが たくさんある いつもいつも考えてる

君と一緒にお墓参りして いつもいつも ありがとう

ひとかけらの虹を渡って 帰り道を 駆け出した

君に会いたいよ いつか会いたいよ

お金なんていらない きっとそのときは

君に話すんだ 心をこめて

いつも笑う ナクペンダ

何度も言うよ  ナクペンダ

瓦待良「ナクペンダ」 演奏は1’30から 



亡くなった人を思うと同時に、今生きてそばにいる人を大切にしたいと思える、そんな曲です。

これらの亡くなった人を思う歌を聴いて、人間は常に「失う」ということが起こり得る、そして、それに向き合っていかなくてはならない生き物なのだと強く感じます。

よく言われているのは、「苦痛を伴わずに思い出すことができるという状態になると喪失体験を乗り越えられたと言える」ということ。

クラプトン自身も音楽によって、その域にたどりつくことができました。

もし私たちもそういった喪失を体験した時は、そこへ到達するまでの道のりを、音楽や本、運動など、様々な方法を選択しながら実現できると良いですね。もちろん、カウンセリングもその一つです。


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